「何やってんだろうね?三浦くんはまったく」



頬っぺたを膨らませて、吐き捨てるように言った愛里は、また溜め息をつく。



「美羽のこと、好きなんじゃん。なのに……バカみたい」



非難するような口振りなのに、顔を横に向けて愛里は悲しそうな表情をする。



「愛里……」



三浦くんの気持ちがわかるから、私も愛里も彼を憎めない。



「お兄さんだって、こんなの喜ぶわけないのにね?」



ポツリと呟いた愛里は、私を慰めてくれてるんだろう。



「ありがと………愛里。でも、もう……いいんだ」



「何がいいの?抱き締めといて、あんな避け方するなんて、有り得ないよ!美羽のこと、なんだと思ってんのよ!」



涙で視界が歪む。


愛里が前に言ってくれた、私には荷が重いっていう意味が、ようやくわかったような気がした。


思ってるだけじゃ、見守るだけじゃ、彼を救うことは出来ない。


私が好きでいることが、逆に彼を苦しめるんだとしたら……


避けようとしてる意味。


それはきっと私を好きになりそうな自分を戒めてる。