うちの高校では春に体育祭が行われる。


新しいクラスメイトと仲良くなれるようにってことらしいけど、私にとってはいい迷惑だった。


運動は全然得意じゃない上に、それほど親しくないクラスメイトにそれを見せなくちゃならないなんて……



「はぁ……」



思わずため息がもれる。


今の時間はホームルーム。


どの競技に誰が出るのかを決めているところだ。


隣の愛里は運動が得意なだけに、どれに出ようか迷うくらい張りきっていて、なるべく目立たない競技を必死に探してる私とは大違いだった。



「美羽?どれにする?」



愛里が見かねてそう聞いてくれるけど、私にできそうな競技なんかそうそう見当たらない。



「わ……たしは、綱引きとかで……いいよ」



みんなにまぎれてできるものといえば、そのくらいだ。


そんな私に愛里があきれたような声を出した。