そして私は動けなくなる。


髪が手のひらの中に無くなると、物足りなそうな顔をして私を見下ろした。



「なんか、大人っぽくなったね?」



どう……捉えたらいいんだろう?


ほめてるわけでもないような、憂いを含んだ表情に、私は戸惑う。


そらすことなく見つめられて、その目に吸い込まれるように私も目が離せなくなった。


なんだろう?この感じ……



「誰か、好きなヤツでも出来た?」



な……に、言ってるの?



「羽生?」



三浦くんは次から次へと、信じられない言葉を投げ掛けてくる。


私は答えられないまま、彼をジッと見つめ続けた。



「付き合うの?あいつと」



ドアにもたれながら、三浦くんは聞いてくる。


胸の奥の方が、スーッと冷たくなって手が小さく震えた。


なんでそんなこと言うんだろう?