今、自分に答えられる最大限のことを、必死に考えて言葉にした。


早苗さんはありがとうって言ってくれたけど、愛里は何も言わずに私を見てた。


しばらくして早苗さんが時計を見ながらごめんなさいと立ち上がった。



「6時にはまたお店開けなきゃならないから、そろそろいいかな?」



その一言で、私たちもあわてて席を立つ。


良かったら、ココア入れ直すから飲んでいって?と早苗さんは言ってくれたけど、私たちはそれを丁重に断った。


ありがとうございましたと深々と頭を下げ、店のドアを開ける。


外はもうすっかり真っ暗で、北風が私たちの頬をなでていった。



「寒いね?」



ブルッと震えながらそう言うと、愛里はうんとうなずいた。


マフラー持ってくれば良かったななんて思いながら、愛里と二人並んで歩きはじめる。


来るときとちがっていたのは、愛里が全くしゃべらなかったこと。


私も愛里の気持ちがわかるから、あえてこっちからも話しかけることはしなかった。


けんかとはちがう、悲しい空気に押しつぶされそうになったけど、愛里ならきっとわかってくれるって信じてた。