私と愛里は顔を見合わせて、それからさっき座った席に腰かける。


なんとなくだけど、お姉さんが向かいに座った方がいい気がして、私たちは隣同士で座った。


しばらく待っていると、お待たせと言いながら、お姉さんがトレーを片手に現れた。



「寒かったでしょ?これはサービスだから、遠慮しないで飲んでね?」



テーブルに置かれたのは、湯気の上がったマグカップが3つ。


それと、手作りっぽいクッキーが並べられたお皿もある。



「わぁ、ありがとうございます!」



目を輝かせてマグカップに手をつけたのは愛里だった。


私も遠慮がちにマグカップを手にとると、ありがとうございますと頭を下げる。



「あ、これも私が焼いたんだけど、売り物じゃないからどんどん食べてね?」



マグカップの中身はココアで、甘い香りと温かさにホッとした。


お姉さんが焼いたというクッキーは、チョコチップの入ったザクザクした感じのもので、すごく美味しい。


そんな私たちを眺めていたお姉さんの表情がなんだかとってもうれしそうで、私たちは思わずガツガツ食べてしまっていた。