相変わらず私は押しに弱い。


少しは強くなったつもりだったのに、あっさり愛里に説得されちゃうんだから、まだまだだ。


しばらく公園のブランコに二人で腰かけて、時間をつぶした。


さすがに5時に近づいてくると、薄暗くなってきて風も冷たい。


ブルッと体を震わせて、上着のえりもとを合わせた。



「そろそろいいかな?」



愛里がブランコから降りてそう言ったから、私もそれに同意した。



「そうだね?寒いし、もう行ってみようか?」



だれもいなくなった公園に二人の影だけが細長く伸びてる。


ゆっくりとカフェに向かって歩いていくと、着いた頃には時計がちょうど5時を指していた。


店のドアにはCLOSEの札がかかってる。


私たちはそのドアをゆっくりと押し開けた。



「あ、待たせちゃってごめんね?今、終わったとこなの。好きなとこ座って待ってて?」



片付けをしていたお姉さんが、店に入ってきた私たちを見てそう言った。