「ねぇ、起きてる?」



ベッドの隣に敷いた布団から愛里の声がして、私は眠い目をこすった。



「ん……なに?」



愛里がうちに来てからもう一ヶ月が経とうとしている。


うちのお母さんが愛里のママに話して、おばあちゃんの体調が安定するまでうちで預かることにしてくれたのだ。


お正月にはちゃんと家族ですごそうね?1人でさみしい思いさせてごめんってあやまってくれたって言ってたっけ。


そんなわけで、今ではすっかりうちに愛里がいるのが当たり前になっていた。


こうして寝ながら話すのはいつものことだ。



「今日のこと……三浦くんに言った方がいいのかな?」



愛里がそう私に聞いてくる。


本当は三浦くんに言った方がいいと思ってるけど、一応私の意見を聞いてくれてる、そんな感じの雰囲気で。


だけど、私の意見は決まってる。


なんとなくだけど、あの2人のことを三浦くんに話すのは気が重かった。


夏祭りのときのあの感じ。


三浦くんにとってのあの2人はあまりふれられたくない過去なんじゃないかって気がしたから。



「うーん……とりあえずなにもなかったわけだし、わざわざ言わなくてもいいんじゃないかな?」