「あ!丸山、みっけ!」



体育館のわきからひょいと顔を出したのは、当の本人、羽生くんだ。



「こんなとこで弁当食べてたんだ?」



めずらしいものでも見るように、私の方に向かって歩いてくる。


そしてそばまでやってくると、なんのためらいもなく私の隣にドサッと腰をかけた。


腕と腕がふれあう距離にドキドキしながら、あわててお弁当箱を袋にしまう。


羽生くんは相変わらずの人なつっこい笑顔を私に向けてきた。



「……探してくれたの?」



私はなるべく羽生くんの方を見ないようにしながら、そう聞いてみる。



「うん、いっつも昼になるといなくなるから、どこ行ったのか気になって」



本音を言えば、こんな風に探されるのは迷惑だった。


また一緒にいるところを見られて、さわがれたりするのはイヤだったから……



「……まだ、須藤と仲直り出来ないの?」



「え?」



考えてたこととちがうことを言われて思わず羽生くんの方に顔を向けると、すぐ目の前に彼の顔があってあわててまた下を向く。