うわさの真相をたしかめるように、クラスの女子たちが私の席の周りに集まってきて、やいのやいのうるさかったっけ。


今まで話したこともないような女子ばかり、愛里そっちのけで私に話しかけてくるとか、ほんとに初めての経験で。


それがこんなうわさによるものじゃなければきっとうれしかったんだろうけど、正直困り果てていた。


愛里は愛里で我関せずの姿勢を崩さずに、相変わらず一人でだれとも話そうとしなかった。


空気の読めない女子なんかは、隣の席の愛里にまで意見を求めようとして



「さあ?どうなんだろうね、私はよくわかんないから」



と、冷たくあしらわれてたけど。


羽生くんでさえ気づいてた私たちの関係に、全然気づいてない人もいるんだなと苦笑いしたっけ。


でもそれは同時に、羽生くんは私たちのことをよく見てるって証拠でもある。


それがとてもうれしくもあり、苦しくもあった。


愛里としか話さない引っ込み思案な丸山さんていう存在が、いつの間にか時の人みたいにもてはやされて、羽生くんとのなれそめとかいろいろ聞かれたけど、当然なにも答えるようなこともなく、そのうちあきてくれるのを待つしかなかった。