初恋マニュアル

愛里たちはまだいないのかな?とテニスコートをのぞいていると、手に持っていたスマホがまたふるえた。


羽生くんかな?と、いそいでLINEを開くと、そこにはやっぱりさっきのアイコンに数字が表示されてる。



『実はさっき、須藤に教えてもらったから、早くLINEしたくて部活は遅刻中(笑)もう行かなきゃなぁ……返信してくれてありがとう、すげーうれしい!またラインします』



そんな文章を読んでいると、なんだかはずかしくなってくる。


部活に遅刻してまで、私にLINEしたかったってこと?


夏祭りにみんなからひやかされたことを思い出す。


社交辞令なんだと思ってたけど、ほんとに私と友達になろうとしてくれてるんだろうか。


そんな羽生くんになんて返事をしていいかわからなくて、私はそのままスマホをカバンにしまった。


中学のころとはちがう高校生活になんとなくドキドキする。


だれもが放っておいてくれた中学時代とはちがって、高校ではなぜかみんなが私をかまう。


三浦くんも羽生くんも、由宇ちゃんも夏帆ちゃんも……


愛里は逆に高校生になって、私とは距離をとるようになったけれど、それが私のためなんだってことはもうわかっていた。