まさか高校生になって、男の子と二人で花火を見てるなんて、夢にも思わなかった。


偶然にも、好きな人と二人で、しかも手をつないだまま……


恋人同士じゃないけど、それでも私は満足だった。


恋をしたことのなかった私に初めて好きだと思える人ができて、その人と一緒に夏祭りを過ごせてる。


しっかりとにぎられた手は、私を気づかってくれてのものだけど、わたしにとってはすごくドキドキするもので、好きな人と手をつないでるっていうだけでもう空想の彼氏をこえていた。


花火の音がまた響いて、空がキャンバスに変わる。


たくさんの色の大輪の花が描かれて私は目をうばわれた。


落ちていく光をながめながら、また来年も三浦くんと夏祭りに来れたらいいなと思う。


次々と上がる打ち上げ花火はあたりを明るく照らし出して、ずっと花火だけに集中していた視線を少し下に向けた。


さっきまで暗くてあまりよく見えなかった三浦くんの顔が、花火の光に照らされてほんのり浮かび上がる。


その顔を見ながら、私は初めて好きになった人が三浦くんで良かったって、心からそう思えた。