そんなことばかりが頭の中をぐるぐるしていて、テストなんかまったく集中できなかった。



「ちょっと、美羽?テスト、もう終わったよ?」



愛里に声をかけられるまで、テストが終わったことにも気づいてなかった。

いつの間にかテスト用紙も回収されてる。



「消しゴム、良かったねぇ?見つかってさ。相変わらずドジなんだから、美羽は」



ハハッと笑って愛里は私のおでこを人差し指でつつく。


私もつられて笑いながら、消しゴムをギュッとにぎりしめた。


それからおもいきって愛里に聞いてみる。



「ねぇ、愛里……さっき、消しゴムひろってくれた人って……だれ?」



だれにも聞こえないように、愛里の耳元でそっとささやくように言ったのに。


それなのに愛里ってば……。




「えぇ!あんた入学して一か月はたつのに知らないの?」



おおげさにおどろいてみせる愛里に私はあわてて彼女の口をふさぐ。




「ちょっ!愛里!声、大きいってば!」



シャーペンの彼にまで聞こえちゃうんじゃないかって気が気じゃない。