いつものように私は〝ソメイ道〟を散歩していた。
-独り-で、私はいまでも誰かに抱きしめてほしかった。
だからだと思う、あの時の私は、変だった-


彼は、ソメイヨシノの木の下に、、、いた。
海の闇を練ったような見事な黒髪、
そこからのぞく紅く怖いようで優しい瞳、
そう人外の、目を引く容姿。

そして私は、気づいたその紅く光る角を、
『やばい!鬼だった!見過ぎた、見えてることがばれた。面倒くさいな、、、』
私は、今さらこんなことを考える私も私だな、と思いながら鬼の前を歩いた。


「君、名前は?」