「湖波は、俺の事が嫌い?」

 副社長はソファーから見える窓へ目を向けたまま言った。


「そんな…… 嫌いだなんて思った事は無いです…… でも……」


「でも?」


 副社長は私の方へ向きを変えて、その先の言葉を求めた。


「何を考えてるのか分かりません…… 仕事をしている時の副社長とは全く違うし……」


 私は、思わずため息が漏れてしまった。


「今は、湖波の事しか考えてないけどね……」


「なっ……」


 チラリと目が合い、顔が勝手に熱くなってくる。


「まあ、仕事している時の俺とは確かに違うかもしれない…… でも、どっちが本当とかじゃなくて、どっちも俺だから…… だけど、湖波と居る時の俺は、凄く楽で、自分らしく居られるのかもしれない……」


 そう言った副社長の手が、避ける間もなくサッと私の肩を抱いた。



 私の手にしていたマグカップを、そっと受け取りテーブルに置いた。


「さっき言ったのは嘘じゃない。湖波の事、ずっと好きだった」

 副社長は熱く私を見つめ唇を重ねてきた……


 なぜか、抵抗する気持ちは無く、副社長の唇を受け入れてしまう……


 副社長の手が、スウェットの中に入ってくると、ぶかぶかのスウェットは簡単に脱がされてしまった。


 下着だけになった私をすっと抱き上げ、副社長は寝室のドアを開けた……


 ベッドの上に寝かされ、自分の姿に恥ずかしくなり慌てて両手で胸を覆った。


 その上から、副社長が覆いかぶさり、首筋に優しく唇を当てた。


 だんだんと、胸の方へ降りてくる唇の感触に気持ち良くなってしまう……


「うっ……」

 思わず声が漏れそうになる……


 副社長の手が益々激しく、体のあちらこちらに触れてくる……


 お互いの息が荒くなり……


 副社長の腕の中で、愛されているという感覚に満たされていった……