「テトもララも今日は早く家に帰るんだよ」

お腹いっぱいになって満足した私たちに向かっておばさんはそんなことを言った。

何でだろう？

不思議に思って首をかしげると、おばさんはまだペロペロと手を舐めているララの喉元を撫でて空を見た。

「夕方には嵐が来るよ。明日は百年に一度の特別な一日だからね」

え……？
それって、パパが言ってた伝説の日のことかな。

でも……
「嵐が来るんだって、ララ」

「んんー？」

ララは気づいていないようで、のんびりとした動きで私の方を振り返った。

「じい、大丈夫かな？」

「じい？……わっ！大変だ！」

やっと気づいたみたいで、ララは撫でられて気持ち良さそうにしていた目を見開いた。

「お姉ちゃん、知らせに行こう！」

「うん！」

あんなところにいちゃ、じい危ないよ。

私とララは嵐のことを早くじいに伝えようと、長い石段をかけ上った。

後ろからは「あらあら気を付けなさいよ」というミツおばさんの声が聞こえた。