この島の猫たちの中で、じいと親しくする者を私は見たことがない。

じいの噂は悪いものばかりだったから、私も昔はじいが怖くて近寄らなかった。


じいと仲良くなったきっかけはララだった。


「このお花きれい!」

そう言って咲き乱れる彼岸花を見ていたララは何を思ったのか花の周りの土を掘り始めた。

「何やってるの?」

「家に持って帰るの!!」

ララが、むき出しになった彼岸花の球根をくわえようとした時だ。


「かじっちゃいかんよ、毒があるんじゃ!」

急な大声にビックリした私たちが振り返ると、ピカピカした猫が丘を走って下ってきたのが見えた。

その猫が、ねこ吉じいさんだった。


それ以来、私とララとじいは友達になったんだ。