慌てて机の中から教科書を出していれば、愛生が口を開く。 「舞子、先に行ってて!」 「え、でも……」 目的の教室までは距離があるから、歩いて行くと時間がかかってしまう。 でも愛生は喘息を持っているから、走ることが出来ない。 「私ならちゃんと間に合うように行くから、大丈夫」 「そう…? 分かった、先に行ってるよ」 私は心配しながらも、愛生の好意に甘えることにして教室を出て行ったのだった────。