本気のパイライト



「せ、先輩、今……」


「渡良瀬ちゃん、今……」


3度目の重なった声は、名前じゃなかった。


「「っ、」」


お互いに顔を見合わせれば、頬が一気に熱をもつのが分かる。


あぁ、私、絶対にゆでだこみたいな顔してる。


「渡良瀬ちゃん」


色々な感情が行き交う心のまま先輩を見上げると、先輩も赤くなった顔で私を見ていた。