「さっきから屋台のいい匂いがするでしょ?」 首を傾げた秋良にズラリと並ぶ屋台を指して見せると、秋良はクスッと笑って答える。 「本当は、姉さんが食べたいんでしょ?」 「あ、バレちゃった?私、お昼食べてないんだよね」 「ふふっ、姉さんのことならよく分かるよ」 「さすが私の弟」 1つウインクをして見せれば、お互いに笑い合っていたその時────、 「渡良瀬ちゃん……っ!」 よく知るその声に、私は後ろを振り向いた────。