嘘つきなキミ(続編)

ー赤羽ー

病室を出るとあい先生が佇んでいた。

「あい先生…」


あい先生は、俯いていた。


「ちょっと話そうか。」


そう言ってあい先生を屋上へ連れて行った。


「大丈夫?」

あい「…はい」


今にも消えそうな声で答えた。


「あい先生、はやと先生は頑張っているよ。なんでだと思う?」


あい先生は、首を振った。


「それはね、あい先生の為だよ。」

あい「そんな事…」

「これは、私の見解だけど、はやと先生はあい先生のことが大好きだと思う。それは、女の子として。だからね、あい先生の為に一生懸命生きてる。あい先生がいるからこそ頑張れるんだと思うよ。」


あい先生はまた俯いた。
そして…


あい「私…いない方がいいのかな…」

「なんでそう思うの?」

あい「…私に携わった人みんな亡くなってくんです…。お母さんも妹もお父さんも…こうへいもみゆきだって…だから…」

「それはね、その人達の運命なんだ。だから、あい先生のせいではない。」

あい「でも…」

「あい先生。こっちを見なさい。」


あい先生は、涙でぐちゃぐちゃになった顔をゆっくり顔を上げた。


「はやと先生は、まだ前を向いている。あい先生は?」

あい「…」

「はやと先生が、前を向いているのに、あい先生が、下を向いていたら、頑張れないだろ?」

あい「…これ以上頑張れなんて言えない」

「頑張れなんて言わなくていい。あい先生がいる事ではやと先生は、前を向いていられるんだ。自然と頑張れてるんだよ。」

あい「…」

「あい先生。」


俺は、あい先生の肩に手を置いた。


「大丈夫。はやと先生の生命力を信じよう。」

あい「先生…一つだけ聞いてもいいですか?」

「なんだい?」

あい「1ヶ月って…」

「ぁあ。それは、私からじゃなくて、はやと先生に聞いた方がいいんじゃないかな?お互いの為にも。」

あい「お互いの為に?」

「うん。ちゃんと向き合って、話し合った方が2人にとって最善の答えがでるんじゃないかな?それでも、ダメだった時は、私を呼んでくれればいつでも力になるよ。」

あい「ありがとうございます。」


あい先生は、勢いよく頭を下げ、はやと先生の病室へ向かって行った。


私は、空を見上げた。

「こんなにお節介だったかな?」

自然に顔が綻んだ。