「……加代ちゃん。私、ヒナのお母さんのこと、調べてみるよ。
知りたいの。ヒナのお母さんのことだけじゃい。
もし加代ちゃんの話が本当なら、お父さんたちがどうして嘘をついてまでその人を隠そうとしてるのかを……。

今から七日間、お父さんは家に帰ってこない。
おばあちゃんの部屋や蔵に手がかりがないか、こっそり調べるチャンスは今しかない」

「あざみ……」

驚く加代に、「それにね」と私は笑った。

「ヒナは、ハライノギに臨むことで自分の孤独を乗り越えようとしてる。
だから、私も力になりたいの。ヒナがもう二度と、『自分がなんなのか分からない』なんて言わなくていいように。お母さんのこと、教えてあげたい」






日菜子の首に巻き付く蛇。

あれが、日菜子の苦しみの暗喩なら……

その蛇をほどくのを、手伝ってあげたい。


それで日菜子が救われるなら……きっと私の胸の不穏なざわめきも、消え去ってくれるはずだから。