私は神様とか祟りとか、霊的な存在やら現象なんてこれっぽっちも信じていない。

だけど、5回、6回と同じ夢を見続けるうちに、さすがに笑って済ませることができなくなった。

気味の悪い夢。

しかも夢に出てくるのは日菜子。

一体どうしてこんな夢を見続けるんだろう、日菜子の身に何か起こるとでもいうの?

ちょうど祖母が入院した時期で家の中がせわしなく、父に相談するのは気が引けた。

日菜子本人には言えるわけもない。

でも誰かに相談せずにはいられなくて、私は加代にこのことを打ち明けた。


『ただの夢よ。心配いらない。悪いことなんか何も起こらない』


加代は真剣に聞いてくれて、そして私を安心させるように、何度もそう言い聞かせた。

それで心が軽くなったせいか、私はそのうちそんな悪夢を見ることもなくなっていった。



加代が自分も日菜子のウブモリをするとあそこまで強く言い張ったのは、たぶん日菜子のためだけじゃない。

私のことも心配してくれたのだ。

またハライノギに関わることで、去年と同じようにおかしな夢を見始めるんじゃないかと。