目立たぬように、だが素早く動く。
ボールをもらいやすい場所。自分が走りやすい場所。…パスを受け止められるところ。
彰矢が考えた最善の場所に移動した、その瞬間だった。
「彰矢!!」
4人を相手取った雪兎が敵のゴールを見据える。
それを感じたと同時に彰矢は走り出す。
雪兎がボールを空へ蹴る。少し遅れて彰矢がDFをスルーしてゴール前に躍り出る。その時、2歩先にボールが落ちてくるのが見えた。
ボールを受けた彰矢は、呆気に取られている女子たちが我に返ったと同時にシュートを放つ。
ボールは大きくゴールを揺らした。
誰もが言葉を失う。その中で雪兎は目を細め、口角を上げる。
「反撃開始だ」

