…どいつもこいつも。
雪兎は込み上げてくる感情を首を振って追いやる。
…でも。考えは浮かぶ。…実力がなきゃ、いたいと思える場所にいることさえ、認められないのか。
あの時とは状況が違う。あの時とは人が違う。変わっていないのは、ただ名前だけだ。
分かってる。分かってるけど、オレは、オレを救ってくれたこの場所に自分の力でいたいだけだ。
隅の方で邪魔にならないように準備をしてるマネージャーの小月と愛華に近づいた雪兎は、息を吐いて感情を抑える。
「先輩、手伝えなくてすみません」
「ゆき……くんは、今日は選手なんだから気にしないで」
「…重ねてで申し訳ないんですけど、ドリンクもお願いします。部室のベンチ下にまとめてあるんで」
「うん、任せてね」
微笑んだ小月に雪兎は少しだけ笑う。

