「いや、雪兎って何の目標があってサッカーやってんのかな…って」
「…」
彰矢の言葉に雪兎は黙り込む。
地雷だったかと焦った彰矢が口を開こうとしたが、その前に戸木が彼らに声をかけたことで彰矢は口を閉ざした。
「荻原、MFで入ってくれ」
「分かりました…司令塔はキャプテンですよね」
「お前の方が適してると判断すれば、お前に任せるよ」
戸木の言葉に雪兎は押し黙る。それは、拒否の現れか、それとも…。雪兎が口を開く前に任せたと肩を叩く戸木は、足早に去っていく。
こちらも雪兎からの拒否権は認めない態度だ。
「すげぇな雪兎」
「どこが。キャプテンたちでさえ、オレのことを試す気満々じゃねぇか」
彰矢の賛辞も、雪兎ははね除けて苛立ちを隠せないようにその場を離れていく。
そんな雪兎に彰矢もかける言葉を失ってしまい、その場に留まってしまう。

