「雪兎はさ、なんで月掛に?」

「サッカー部入りたかったから。彰矢は?」

「俺も!…でもまさか、強豪なのは“女子”サッカー部って知らなかった…」

「それ、先輩の前で言うなよ。失礼だろうが」

「あ…そうだよな…。わり、忘れてくれ!」

彰矢は笑うと、それにしてもと俺を見下ろす。

「お前、背低くね?」

「おい、彰矢。お前殴るぞ」

人が気にしてることをいきなり突いてきやがって…。マジで拳を固めると、数歩下がって謝ってくる。

ったく、こいつ天然かよ。

でも、退屈しなさそう。ムードメーカーっぽいし、楽しくなりそうだな。

まだおたおたしてる彰矢に手を差し出すと、ピタリと動きを止める。

「改めて、よろしくな」

「お、おう!こちらこそ!!」

遠慮なく捕まれる手。…地味に痛いし。

でも、笑ってる彰矢に余計なこと言いたくなくて、笑っといた。