「蛍斗、お出まし」
副キャプテンの鳥羽に肩を叩かれた蛍斗は、自分がアップをし忘れたことに気付き表情を固くさせた。
男子サッカー部のグランドに入ってきた女子サッカー部の貫禄は見事なもので、その場の空気をすべて持っていってしまう。
近づいてきた女子サッカー部のキャプテンに、蛍斗が向き合う。
「覚悟、出来た?」
「あぁ。…勝つ覚悟ならな」
一瞬目を見開いた女子のキャプテンだが、不敵に笑みを浮かべる。
「へぇ、いい覚悟ね」
言葉はそれ以上交わさなかった。それぞれのチームメイトの元に戻ったキャプテン。その顔はチームを率いる者の顔だ。
「いろいろごちゃごちゃしてっけど、やることはいつもと変わらない」
「さてと、いつも通りに。相手にとって不足なし!」
「「というわけで、……勝つ(ぞ)(よ)!!!」」
それぞれのチームに闘志が宿る。
ホイッスルの音が鳴り響く。
それぞれのチームの未来をかけた試合が始まる。

