「…負けようが、何だろうが、全国目指して公式戦に出る。それが部活ってもんだろ。それなのに、それがなくなったら、何のために頑張りゃいいんだよ」

葛城先輩は悔しそうに、絞り出すような声でそうこぼした。

…葛城先輩の本心だ。彼だけじゃない。ここにいる、全員の…。

……この人たちを勝たせたい。先輩たちに夢を諦めないで欲しい。

自然と浮かんだのはそんな考えだ。

顔を上げる。勝ちたい。そう、全員が思うこのチームなら…。

「…なら、勝ちましょうよ」

「はぁ?…お前、今の話」

「勝てばいいだけだろ!!はじめっから負けることばっか考える奴が勝てるわけないでしょ!!先輩たちは、負けること考えて公式戦出てるんすか!?今回だって、全国目指して出る公式戦だって思えばいいだろ!!」

「部活の存続がかかった試合だぞ!?」

「公式戦だって、トーナメントなら1回負けたら全国1が絶たれる。それと何が変わんないんすか!!?先輩たちは、相手が全国常連だからってはじめから試合を諦めるんですか!?」