「…でも、要は勝てばいいんですよね」
「そんな簡単なもんなら、誰も怒らねぇよ!!」
オレを殴った葛城先輩が吠える。
キャプテンが制する前にオレの前に出てきた葛城先輩に胸ぐらを捕まれる。思わずその手首を掴むけど、力は弱まりそうにない。
「俺たちはな、一度だって女子サッカー部に勝てた試しがないんだよ!!」
「…え」
それには思わず呆ける。
そんなに力の差があるのか?…ミニゲームでしかまともに動きを見たことないけど、少なくともキャプテンたちは弱くは見えない。
チームワークもとれてるし、動きだっていいはずだ。それなのに、なんで…。
「…先輩たちは、弱くないじゃないですか」
「昨日今日入ってきた奴に何がわかる!!俺たちだって努力してる。でも、ダメなんだよ!!どんなに練習しても、地区予選すら突破出来なかった!それに対して女子は全国でもトップクラスの連中だ!!運動量とか抜きにしても、敵わねぇんだよ!!」
突然手を離されてバランスを崩す。なんとか倒れずに済んだものの、数回咳き込む。

