「もういいだろ?1年がこんなに頭下げてんだ」

割って入ってきたのは、キャプテンの声。

「荻原、頭あげろ」

有無を言わせない声音に従って頭を上げる。キャプテンに腕を回されてる葛城先輩は気まずそうに視線をそらしていた。

「荻原、本当に選手じゃなくてもいいのか?」

「はい。…試合に出るつもりもありません」

あえてそう付け加えた。試合に出るつもりも、選手になるつもりもない。

オレがここにいたいって、月掛高校男子サッカー部の部員だって名乗らせてくれれば、それで…。

キャプテンは頷くと、肩に腕を回してる葛城先輩を見る。

「荻原がここまで言ってるんだ。認めてやろうぜ」

「…分かったよ」

葛城先輩の口から出た言葉にほっと息をつく。…でも、安心ばかりしてられるような返答ではないのは確かだ。