そんな入部、後々が苦しくなるだけだ。
「彰矢」
呼び掛けると、彰矢はすぐに振り返る。笑いかけると、前を譲ってくれた。
先輩たちの前に出る。その目は、ドロドロしていて見つめているだけでも気分が悪くなってしまいそうだ。それでも、その目線から逃げず、頭を下げた。
「選手になりたいなんて言いません。マネージャーの仕事でも、記録でもなんでもやります。だから、認めてください!!」
先輩たちが動揺するような気配が伝わってくる。それでも、頭は上げなかった。
これは本心だ。
選手になりたいわけじゃない。ただ、直矢たちの…オレを変えた月掛高校男子サッカー部に所属できればそれでいい。
あの場所に立ちたいって、ずっと思ってたから…。
先輩たちはなにも言わない。頭を下げたまま、きつく目を閉じた。

