兄貴いるのか…。確かになんか、かわいい弟みたいな感じあるもんな。

何となく納得しながらも、気になるのはやっぱ、全く態度が変わらないことで…。

「なぁ、彰矢は嫌じゃねぇの?」

「なにが?」

「…オレが、女なのに男子サッカー部に入るの」

視線を合わせられなくなって下を向いて、声も最後の方は彰矢に届いたかもわかんねぇ。

でも、黙ってしまった彰矢に嫌な予感がして拳を握りこんだ。

「別に、サッカーやりたい奴なら男も女も関係ないだろ?」

「…そ、そうだとしても、月掛には男子も、女子サッカー部もあるだろ?」

「でも、雪兎は男子サッカー部に入りたいって言ってた」

最後の一口を食べた彰矢はオレに笑う。嫌味のない、純粋な笑顔だった。

「雪兎は俺の高校で初めて出来た友だちだ。友だちとサッカーできんなら、俺はなんでもいいよ」

…なんか、バカなこと聞いたかも。

彰矢にとって、オレが男とか、女とか本当にどうでもいいらしい。ただ、友だちだって迷いなく言ってくれたことに、ホッとした。