口を開けたまんま、固まる塩岡たち。んな驚くことか…。
とか考えてる間に思いっきり引っ張られて思わず足が前に出る。
「そういう訳だから、荻原さん、もらってくね」
「ッ…いい加減にしろよ!!」
全力で腕を振り払う。思わず数歩下がったけど、女子サッカー部のキャプテンを睨み付ける。
こういう人が1番嫌だ。なんにも知らねぇくせに、自分の考えを押し付けて来ようとする人が。
「オレは、“女子”サッカー部になんか入らねぇよ!!」
「何いってるのよ荻原さん。あなたが“男子”サッカー部に入ったって試合も何も出れないじゃない」
「試合なんか、出れなくたっていいんだよ!あんたの都合をオレに押し付けないでくれ!!」
何回も聞いた。何回も同じことを言われた。
分かってる。分かってることを何回も何回も、それを聞くたびにオレが普通じゃないことを突き付けられる。

