何となくくまから視線を外していると、キャプテンに呼ばれて振り返る。
その瞬間、そこに立ってた人に顔がひきつる。
「ッゲ」
「荻原さん!やっぱりサッカー続けてるんじゃない!」
ズカズカとグラウンドに入ってきたその人から逃げ出そうと背を向けたけど、走る気力も残ってなくて、あっという間に腕を捕まれる。
「は、離せよ!」
「やっぱりサッカーやりたいんじゃない。いつだってあなたを歓迎するわ!」
「断っただろ!諦めろよ!!」
だからこの人苦手なんだよ!!愛華みてぇだし、何よりこっちの話し聞かねぇ。
何とか踏みとどまろうと踏ん張っていて、なんか綱引きみてぇになってる。
「なんで女子サッカー部のキャプテン?」
塩岡の質問の通り。オレと引っ張り合いしてるのは女子サッカー部のキャプテンだ。
女子サッカー部のキャプテンはオレを引っ張ったまま、塩岡に顔を向ける。
「え?決まってるじゃない。荻原さんを呼びに来たのよ」
「なんでですか?荻原は男ですよ?」
「っだ、ダメ…」
「何言ってるの?荻原さんは女の子よ?」
止める間もなく、女子サッカー部のキャプテンがそう言った瞬間、目を丸くする塩岡たち。
数秒固まった後、響き渡ったのは叫び声だった…。

