「おい!どこ蹴ってんだよ!?」

滝原の怒声が背中越しに飛んでくる。確かにボールは彰矢の頭を通り越してる。

そしてボールはDFの先輩たちを通り越してGKの前。

「おりゃぁあああ!!」

GKの前に転がったボールを、2人の先輩の壁を突進して突き破った彰矢が取る。

先輩たちが動き出したときにはもう遅い。

全力で蹴り出したボールは先輩たちのゴールを揺らす。

「…マジか」

「よっしゃぁああ!!」

ポカンとした顔の先輩たちと滝原を尻目に飛んで跳ねて喜ぶ彰矢。

やっぱりなぁ。とか思って見ていると、彰矢と視線が重なる。あ、ヤベ。

「ゆーきーとぉおおお!!!」

「どわ!?」

いってぇ……。飛び付いてくんなよ…。

グランドに押し倒されたまま、腹の上で騒ぐ彰矢にため息をつく。