「なぁ監督。助っ人の目星はついてるのか?」

「響先輩の伝手で2人、でしたっけ?」

「あぁ。悪いけど、野々村をレギュラーでカウントすつもりなら止めるぞ?」

「オレもそれについては同意です。少なくとも、助っ人はあと1人ほしいですね」

練習終わり、さり気なく隣に座ってきた響先輩は、遠慮がちに声を潜めている。

野々村は、パスこそ受け取れるようになってきたものの、それはあくまでマネージャーが彼に向かって、なんの障害もなく受け取ることができるボールに過ぎない。

彼が試合中、動けるとはとても思えない。いっそ、人数が少なくてでも彼が入るよりはマシだと思えるほどに。

だからといって、11人いるのに出さないのは…。