そんな様子を見つめながら口を開いた。

「水城さん、万が一オレが倒れるようなことがあれば、大学病院に搬送してくれるように頼んでほしい」

「…うん、分かった」

くだらないやり取りがあっても、根気よく待っていた水城さんに、隠し通せる自信はない。

「カバンの中に酸素も入ってるから、貼ってあるメモに合わせて使って。保険証はサイフの中。連絡先や住所も保険証と一緒にメモして入ってるから」

「…うん」

病気のことを言わないのは卑怯なのかもしれない。でも、今オレが言えるのは、これが限界だ。

水城さんは、もの言いたげな目をしていたけどそれ以上聞いてこようとはしなかった。