「ゆき!!」

「っうげ」

厄介なのが来た。

逃げる隙もなく、片腕を掴まれる。力強い…。

「あんたね!!なんで先に行くのよ!病み上がりのくせに!」

耳元で叫ばれてくらくらする。

病み上がりに優しくしてくれねぇのな…。

「だから早めに出たんだよ…」

「それならそうと、なんで私に連絡しないの!」

「なんで愛華に連絡しなきゃいけねぇの?」

愛華を睨みつける。

友人の度を越してる。薄々わかってたけど、愛華はオレを支配しようとしてるんじゃないか。

本人の自覚もないままに。

「愛華、オレはお前を友達だとは思ってるけど、それ以上なんて何も思ってない」

「ゆき…」

「“友達”に、親みてぇな顔されたくねぇし、頼んでもねぇのに踏み込んでくるんじゃねぇよ」