「雪兎、いい加減にしろ」

直矢の低い声。本気で怒ってる。

分かってる、分かってる…。

でも、なんで…?

「ごめんなさい」

「ゆき、ごはん…」

「ごめん、青葉。食べたくない。…明日から、ちゃんとするから。今だけほっといて」

「雪兎、何も分かってないだろ」

「直矢、…ゆき、お腹すいたら冷凍庫にあるの食べていいからね」

青葉の言葉を背に、自分の部屋に入る。

背中の痛みで着替える気にもなれずにそのままベッドに倒れ込んだ。

スマホが鳴ってる。チャットが来てる。

頭では分かってる。でも、何も動きたくなかった。

こんなんじゃダメだ。こんなんじゃ、もっとコントロールしなきゃ。

もっと、冷静にならなきゃ。

もっと、もっともっと…。

私がちゃんと出来ないと、直矢のせいになっちゃう。

急激な睡魔に襲われる。抗えない黒い波に瞼を閉じた。