「調子乗ってんじゃねぇよ!!」
「やめなさいっ!!」
「っ雪兎!!」
複数の声が重なる。
振り返るより先に背中に衝撃と激痛が走る。
しまった…。息が詰まる。体のコントロールが効かない。
数歩踏み出すけど、体制を立て直すより早く地面が迫るのを自覚して目を閉じた。
「雪兎!!」
覚悟していた衝撃の代わりに、誰かに抱きとめられる。心臓が荒く鼓動を立てるのが分かる。
意識して深呼吸して、息が乱れないようにする。
「大丈夫?って背中血出てる!」
「彰矢、ありがとう。でも声下げて耳に響くから…」
受け止めてくれた彰矢は明らかにおろおろしてる。ゆっくりと身を起こすけど、背中に走る痛みに残念ながらすぐに立てなかった。

