「ほら、先輩に任せといて正解だろ」

「そーそ、ちょっとは先輩頼ろうねー」

響先輩と萊先輩の圧力がやってくるのを感じながら、逃げようとはしなかった。

確かに、滝原に言われたばっかだったのにすっかり抜けてた。

もっと、みんなを頼ること。

付き合いの日が浅い先輩たちにすら言われるなんて、ちょっと勝手が過ぎたかもしれない。

「…そうですね。では、頼らせてもらいます」

「…おぉ」

「…荻原って、やっぱ女の子だね」

「はい?」

それはどういう意味なんだ…。

睨んでいると、わざとらしい咳払いをされて肩を組まれる。

「荻原、トラップ練習するぞ!」

「え?」

「ディフェンス教えてくれるんだよねー?」

「え、頼らせてくれるんじゃないんすか!?」

「「先に練習!」」

響先輩と萊先輩に引きずられるようにグランドに入る。

どさくさに紛れて勝負を仕掛けてくる奴を全員蹴散らせたのは言うまでもない…。