「んなことより、なんで俺たちに言わなかったんだ!殴られてたかもしれねぇだろ」
「殴られるのは覚悟してましたし…」
「…あのな、お前はそれでよくても、殴られた跡を見たやつらはどう思う?殴ったやつがあいつだと知れ渡ったら?先生は?お前の親は?あいつらの親は?」
響先輩の言葉に体に衝撃が走る。
…それは考えてなかった。
殴られて先輩たちの気が少しでも済むならって、思った。
でも、確かに経緯を知らない奴からしたら、殴られたオレは“被害者”で、殴った先輩たちは“加害者”と決めつけられてしまう。
先輩たちの今後までちゃんと考えてなかった。
思わず黙り込むと、急に頭を鷲掴みにされてぐしゃぐしゃになで回される。
首がもげそうなくらい、激しく。
「っちょ!?いだいです!!」
「先輩を頼れ、分かったか?“荻原”!」
「分かりましたっ!分かりましたから!!」
っぱとすぐ離された手。首、なんか痛い…。
とか思ってる間に肩に腕を回されて引きずられていく。

