「あ…あの……」

遠慮がちな声に視線を向けると、深くうつむく野々村の姿があった。

露骨だったか…。謝罪されるのを覚悟していると、野々村はもじもじと何度か視線を迷わせてから口を開く。

「入部届けって、どこでもらえますか…」

「っえ、……職員室でもらえる。届は顧問の先生に出せばいいけど」

「ッ」

思わず呆けた声を出してから固まりすぎた。

でも、野々村はたいして気にした様子もなく、頭を下げると早足で去っていってしまった。

…入部、する気になれたんだ。あれで。

思わず呆然と野々村の背を見送っていると、後ろから頭をはたかれた。

「態度」

「…いや、ちょっとビビった」

滝原が注意するほどだ。露骨な態度だった。反省…。