「じゃあ、監督。こちらこそよろしくお願いします」
「…お願いします」
監督呼びはやめてほしいから荻原か雪兎って言ったのに、この人は腹黒か…?
「あ、近藤先輩、ポジションはどこですか?」
「萊でいいよ?ポジションはDFです」
「じゃあ、萊先輩で…」
「あ?俺も響先輩って呼べよ」
お、圧しが強い…。
「っ分かりましたよ。響先輩、萊先輩。よろしくお願いします」
先輩たち、キャラが強そう…。って1年もオレ含めて散々だった。
「で、監督。練習参加していいのか?」
「もちろんです。アップ行ってきてください」
「おう」
「はいはい」
五十嵐先輩…いや、響先輩と萊先輩はグランドに向かって走っていく。
彰矢たちが大喜びしているのが遠目でもわかる。
「…あと、1人」
2年の先輩たちを合わせて今は10人。
あと1人で11人揃う。夏の大会が現実味を帯びてきてるんだ。
思わず浮かんだ笑み。沸き上がってくるのは喜び。その感覚が気持ちよくて、しばらくその余韻にひたった。

