「…でも、あえて言っとく。イメージアップはすぐに出来るもんじゃねぇし、なんなら今からは下がるだろうよ」

「え?なんでだよ」

「“オレ”がいるからだよ。色々言われるのは覚悟の上だけど、生徒が監督、しかも男装女。ネタにされないわけがない」

そう、正直現状、1番どうしようもない。

女に、しかも1年に指導されるなんて知れたら、先輩たちは面白くないだろう。

いや、先輩じゃなくても面白くないだろう。彰矢が特殊なだけだ。

「だから、オレは早い段階で大人に監督を任せてマネージャーに落ち着く!」

「えー、雪兎が監督でいいだろー」

「話聞いてたか?」

彰矢のことは置いておいて、粗方の方向性は示した。

否が応でも意識していってくれるだろう。…あとは、動かねぇと。

視界の隅に見えた人影に息をついた。