「…え、じゃ、じゃあ夏の大会は出られないってことですか?」

「あぁ、悪いな」

滝原はすぐに3年の引退が引き起こす事態を理解したようだった。

男子サッカー部の構成は選手13名、マネージャー3名、そして、宙ぶらりんのオレが1。

選手のうち、3年生は4人。つまり、スタメンメンバーすら足りなくなってしまう。

文字通り、試合にすら出られない状況に陥る。

そんな絶望的な状況に滝原は言葉を失ってしまったようだった。

くまも、塩岡も、岩田も、まさか3年が春の大会で引退するなんて想定していなかったのがよく分かるほど、明らかに動揺していた。

先程から黙ってしまった彰矢に目をやると、呆然という言葉がそのまま当てはまるように、目を見開いて固まってしまっていた。