『この大会が終わったら3年は即引退する。でも、清二は次の試合で最後だ』
『そう、ですか…。あの、こんなこと言うの、失礼と分かってますが…勝つ気、ありますか?』
『もちろん。試合は勝つつもりでいく。…でも、やっぱ俺たちが抜けたら人数の問題もあるから、監督には早めに知っといて欲しかった。それだけだ』
キャプテンとの会話を思い出す。
キャプテンの言葉に淀みはなかった。
だけど、早く受験勉強に本腰を入れたいという気持ちは薄々察していた。
確かに、部活を続けたところでスポーツ推薦が取れる可能性は、絶望的と言っても過言ではない。
それを武器にするのは、どうしても相応の結果が必要だ。
このチームは“弱く”はない。だからといって、“強く”もない。
そんな、続けても大した“功績”にもならないものにいつまでも力を注ぐわけにはいかないことも分かる。
でも、試合前にあんな話をされて、今日の結果に疑念を抱かずにはいられなかった。

