「キャプテン!私とゆき、ここで分かれます」

「わかった。気をつけて帰れよ」

愛華の機転とキャプテンが深く聞き込んでこないことに感謝だ。

キャプテンの反応に誰も何も聞いてこなかった。

「お疲れ様です」

「お疲れ様です!」

せめてもの意地であいさつだけはしっかりする。各々帰っていくみんなを見送って、誰もいなくなったのを自覚すると、その場に座り込んだ。

「ゆき?」

「…ごめん、ちょっと休憩」

背中を擦ってくれる手に合わせて呼吸を整える。

5分くらいそのままで、顔をあげると愛華は黙って離れていく。

「で、何があったの?」

何事もなかったように振る舞う愛華に感謝しながらも、問われた内容には苦渋を浮かべるしかない。

「…なんか飲み物くれるっつわりには押しが強い美人さんに会った」

「はぁ?」

なんだそれはと言わんばかりの顔。でも、合ったことそのまま話してるんだけどなぁ…。