「荻原!今までどこ……大丈夫か?」
ベンチに戻るや否や、怒っていたはずの葛城先輩が一瞬で心配そうな顔をする。
滝原もなんか目を見開いてる…。
そんなひどい顔してんのかオレ…。とは思ったけど、試合中だし、オレのことは後回しで…。
「ッゲホッゲホ…わりぃ、飲み物くれ……」
飲み物もらわねぇと死ぬ…。
よほど顔色が悪かったのか、すぐに差し出されたドリンクを遠慮の欠片もなく飲み干した。
「なんかあったのか?」
「…いろいろ。それより、試合どうなりました?」
「特に問題ねぇよ。戸木がうまく回してる」
「ですよね…」
スコアボードを見ると、3-1。やっぱり問題なかったみたいだ。
安心すると余計に疲れてきて、大きくため息をついた。

