「あぶね…」
「…」
ホッと息をつく滝原だけど、これなんか嫌な流れだな…。
そう思った通り、その後も同じような流れが起こる。
DFまで抜かれた直後に彰矢やFWの先輩がクリアする。一見チャンスかと思われてもストライカーがいない前線にボールが流れても得点には繋がらない。
それどころか、このペースじゃ得点を取る前に体力が切れてしまう。
…この状況の発端は。
「荻原、入れてくれ。大体わかった」
キャプテンが立ち上がる。その表情に自然と笑みが浮かぶ。
…少しだけ似てるな、あの時の直矢と一緒の目してる。
「荻原、選手交替」
「あ、あぁ」
やべ回想に浸ってる場合じゃない。選手交替の合図を送り、アップを初めているキャプテンのそばで屈む。

